平成17年度情報セキュリティアドミニストレータ午後T問題 (問1)

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平成17年度情報セキュリティアドミニストレータ午後T問題 (問1)

平成17年度情報セキュリティアドミニストレータ午後T問題 (問1)


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問1 情報漏えい防止システムの導入に関する次の記述を読んで,設問1〜4に答えよ。
 
 W社は,社員数40名の食料品の通信販売会社である。カタログ冊子には,常時1,000点以上の商品を掲載し,とじ込みの注文書をファックス又は郵送によって受け付け,商品を発送している。注文書には,注文商品番号,個数,注文者氏名,商品配送先,クレジットカード番号が記入される。一度注文を受けた顧客に対しては,ダイレクトメールを郵送しており,その効果もあって,最近では毎日平均1,000件を受注し,月間売上高は1億円を超え,業績を伸ばしている。
 また,業務量が時期によって変動するので,アルバイトを活用している。アルバイトの採用,教育,管理は,各課の裁量に任せている。
 オフィスは,雑居ビルの4階フロア全面を借りているが,エレベータホールや廊下はオープンスペースになっている。各課間で注文書を受渡しする際には,オープンスペースを経由するので,注文書の受渡しを確実に管理するために,授受簿に受渡しを記録している。各課の業務概要と情報システムの構成は,図1のとおりである。
 
図1 各課の業務概要と情報システムの構成

受注課
(1)  受注課の受注係は,随時,ファックス及び郵便受けから注文書をピックアップする。
(2)  受注係は,採番表を用いてユニークな通し番号からなる受注番号を付与し,注文書に記入する。
(3)  受注係は,随時,注文書を束ね,授受簿に受渡しを記録して,受注課事務室を出てオープンスペースを通って注文課の事務室に行き,注文課の受付係に手渡しする。
 
注文課
(1)  注文課の受付係は,受注課の受注係から注文書の束を受け取り,内容を確認して授受簿に受渡しを記録する。
(2)  受付係は,注文係に注文書を割り振る。
(3)  注文係は,注文書ごとに在庫引当て及び請求処理を行う。この操作では,在庫確認システムにアクセスするPCと,社外のクレジットカード与信ネットワークにアクセスするCPCを同時に使用する。クレジットカード与信ネットワークは,社内LANと接続できない契約になっているので,注文係はPCとCPCを起動し,それぞれの画面を見ながら必要な情報を転記入力する。
(4)  在庫引当てが完了した後は,注文書の確認欄に商品手配済のチェック記号を記入し,受付係に手渡しする。
(5)  受付係は,注文書を点検し,授受簿に受渡しを記録して,注文課事務室を出て,オープンスペースを通って配送課事務室に行き,配送課の受付係に手渡しする。
 
配送課
(1)  配送課の受付係は,注文課の受付係から注文書を受け取り,内容を確認して授受簿に受渡しを記録する。
 (省略)
 
総務課
(1)  総務課の文書係は,配送課の受付係から注文書を受け取り,内容を確認して授受簿に記録し,保管庫に入れて保管する。
 (省略)
 
営業課
(1)  外出時には,社外秘情報をすべて消去した上でNPCを持ち出す。
(以下,省略)
 
 W社は,情報管理が適切に行われているかどうかについて,第三者の点検を受けることにし,セキュリティ評価で定評のあるB社に依頼した。B社のセキュリティコンサルタントであるZ氏は,依頼に基づいて,各課の実態を調査し,図2に示す点検報告書をW社に提出した。
 
図2 点検報告書(要旨)
 授受簿による運用が適切に行われているか,そのほかに情報管理上の課題がないかどうかについて調査を行い,課題を次の(1)〜(3)にまとめた。運用ルールの徹底を図るとともに,システム面での対策を検討すべきである。
(1)  授受簿の記録の不整合
 文書の棚卸しを行ったところ,授受簿に受渡しの記録があるにもかかわらず原本が見当たらない“原本紛失”と,原本があるにもかかわらず授受簿に受渡しの記録がない“記録漏れ”が,それぞれ数件見つかった。ヒアリングによれば,繁忙期に業務が混乱したことが原因と推測される。
(2)  PC管理の不備
 〔1〕休憩時間などに,事務室を不在にしているにもかかわらず,PC,CPC,NPCがログインしたまま放置されていることがある。このような管理では,ほかの社員やアルバイト,来客などによるなりすまし及びのぞき見のリスクがある。
(3)  アルバイトの情報セキュリティ意識の高低差
 アルバイトの情報セキュリティ意識をアンケート調査したところ,各課間の高低差が大きいことが判明した。意識の低い課では,情報漏えいなどのリスクが大きい。
 
〔情報漏えい防止対策の検討と実施〕
 報告を受けた社長は,情報管理の徹底を訓示するとともに,具体的な対策を検討するよう,情報セキュリティアドミニストレータのK君に指示した。K君は,対策の素案を次のようにまとめた。
(1)  物理的セキュリティ
 すべての事務室の扉に電子錠を設置し,暗証番号を入力しないと入室できないようにする。
(2)  注文書の電子化
 新たにイメージスキャナを導入し,受注課で注文書を受け付けた時点で,直ちにイメージスキャナで画像情報として電子化する。注文書の原本は,すぐに総務課で厳重に保管する。
(3)  ワークフローシステムの導入
 ワークフローシステムを既存システムに追加導入し,受注課から注文課,配送課及び総務課への注文書の手渡しと,各課間の受渡しを記録する授受簿は廃止し,ワークフローによって授受記録を管理する。
(4)  ICカードの導入
 ICカードを導入し,社員及びアルバイトに1枚ずつ配付する。すべてのPC,CPC,NPCにICカードリーダを接続し,ICカードを装てんした状態のときだけ使用できるようにする。
(5)  ログイン情報管理サーバによる認証の一元化
 ログイン情報管理サーバを新設し,社内LANに接続するPC,NPCは,このサーバと通信できる状態のときだけログインできるようにする。
(6)  操作制限,出力制限の実現
 W社内のすべてのPC,CPC,NPCに対して,離席時の操作制限と外部記録装置やプリンタへの出力制限を行う。
(7)  情報漏えい防止システムの導入
 上記(4)〜(6)を実現するために,次の表に示すC社製情報漏えい防止システムを導入する。
(8)  情報管理面での施策の強化
 〔2〕図2の点検報告書の課題(3)に対応するための施策を実施する。
 
表 C社製情報漏えい防止システムの仕様
機能 仕様内容
ユーザ認証 ログイン時のユーザ認証は,ICカードの情報とディレクトリサーバの情報を照合するディレクトリサーバ認証方式と,パソコン内にあらかじめ導入された情報とICカードの情報を照合するスタンドアロン認証方式のいずれかを選べる。ディレクトリサーバ認証方式は,ディレクトリサーバと通信できる環境の場合だけパソコンを起動できる。
ファイル暗号化 ファイルは自動的に暗号化され,ICカードを装てんしないと復号できない。これによって,パソコンが盗難に遭っても,情報漏えいのリスクを低減できる。
出力制限 フロッピー装置,CD-R装置,USBメモリなどの記録装置への書込み,及びプリンタによる印刷を禁止できる。ただし,これらの禁止は,管理者の許可があれば,一時的に解除できる。
操作制限 ICカードをパソコンから外すと,パソコンの画面が暗転してロック状態になり,操作を禁止できる。
 ICカードは,多機能型が利用でき,入退室かぎ,クレジットカード,電子マネーなどと一体化して利用できる。
 
 この素案に基づいて検討を行ったところ,〔情報漏えい防止対策の検討と実施〕の(4)に関して,〔3〕ある課では業務効率が著しく低下することから,導入が困難であることが分かり,特例的な運用によって解決することにした
 また,NPCとCPCのユーザ認証方式には[  a  ]方式を適用できないことが分かったので,[  b  ]方式を採用することにした。
 W社では,これらを踏まえて,情報漏えい防止システムの運用を開始した。
 

 
設問1 本文中の[  a  ],[  b  ]に入れる適切な字句を,表中の仕様内容の字句を用いて答えよ。
 

 
設問2 本文中の下線〔2〕に該当する施策を,W社のアルバイトの教育状況を踏まえ,35字以内で具体的に述べよ。
 

 
設問3 本文中の下線〔3〕について,(1),(2)に答えよ。
(1)  導入が困難な課名を挙げ,該当する業務内容について,20字以内で述べよ。
(2)  特例的な運用について,その内容を40字以内で述べよ。
 

 
設問4 図2中の下線〔1〕の事態を抑止したい。そのための,C社製情報漏えい防止システムのICカードを活用した施策を,60字以内で述べよ。
 


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